Give me.

 俺は誰かの為ではないと動けない人間かもしれない。誰かから言われたわけではないけど最近何となしにそう思う。上手く言葉にする事が出来ないが、誰かが喜んでいる顔を見る事でやっと俺は喜べるんだろう。と、最近フラれた俺は考えた。
 バイトをしている時、特にそう思う。付き合っている頃はこのお金で何をしてあげよう、何処へ行こうと考えていたからどんな業務でも苦ではなかったが最近は苦でしかない。辞めたいとは思わないがお金を得た所で自分に還元しようとは思えない。ただどうしてもお金が必要な用事がこれから待っているので稼いでます、と言わんばかりだ。恥ずかしながら読書が趣味であるので昔は貪るように本を買っていたのだが、最近はめっきり購入する事が無くなった。
 とは言えお金に困っているという現実があるのだからどうも折り合いがつけ辛い。お金を頂いた瞬間は何も心が揺り動かないが、いざ友人の誘いで飲みに行ったり等となるとお金の重要性を知る。だが日が経ち、またお金を頂く時にはこんな紙切れに何の意味があるのだろうと辟易してしまう。
 確かにお金があり、それを自分の為に使うのは楽しい事だ。けれど自分の為に使った所で何の意味があるのかと考えてしまう。俺は出来る事ならば他人を喜ばせたい、他人に影響を与えたい。俺は俺の為にお金を使わずとも満足出来るが、他人は俺がお金を使わない事で不満に思う事がある。その為なら俺は惜しみなくお金を遣う。中学生の戯言のようだが、俺は他人の為に生きていたいのである。自分の不満足なんて知ったこっちゃねぇのである。